多久市(佐賀県)

多久市(佐賀県)
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近き者説(よろこ)べば、遠き者来る」――この言葉は、まちづくりや治世の原点を表したとも言える。論語の言葉です。自分の郷土や身の回りのことに関心を持ち、少しでも良くしていくことで、それが周りの人へも及び、喜びとなり、みんなが自身と誇りを持てるまちとして育っていくようになれば、実にすばらしいことである。多久市では、江戸時代に多久茂文が伝えた孔子の教えを活かした地域づくりを進めています。

位置

佐賀県の中央部、四方を緑ゆたかな山に囲まれた、盆地にある自然が豊なまちである。市内のそこかしこにメダカが泳ぎ、ホタルが舞うほどの自然を擁している。同時に、創建から300年を経た多久聖廟を中核に文教の地として栄え、現在もその風土が生きる文化・教育のまちでもある。

基本情報

面積 96.93 km²
人口 18,384人(令和4年6月1日現在)
市長 横尾俊彦(よこお・としひこ)
由来 昭和29(1954)年5月、1町4村が合併して市制施行。
市名のいわれ 和日本最古の百科事典『和名類聚抄』に「小城郡高來(多久)あり、名義は古に栲木の多き處などにて負せたるべし」とあり、多久の地名が最初に現れた本である。「栲」は「たえ」と読み、人名では「たく」と読む。
産業 近代以降は石炭産業の炭都として栄えた。長崎自動車道が開通し、多久インターチェンジが完成後、地の利を活かし工場誘致に力を入れ、多くの工場が立地している。農業も昔から盛んで、特に温洲みかん、桃、びわ、小ねぎなどは県内外でも有名である。
特産品 納所びわ、いちご、多久まんじゅう、岸川まんじゅう、青しまうり漬、手造り包丁
ホームページ https://www.city.taku.lg.jp/
市民憲章 わが多久市は緑の山に囲まれた自然と歴史に恵まれ 輝かしい伝統と限りない発展性をもった都市です
私たちは多久市民であることに誇りと責任をもち 郷土の繁栄とお互いの幸福をきずくために みんなで力を合わせ 生活向上のよりどころとして この市民憲章を定めます
一 私たちは、思いやりの心をもって、すべての人に親切にしましょう。
一 私たちは、働く喜びをわけあって、明るい家庭をつくりましょう。
一 私たちは、老人をいたわり、こどもに愛の手をさしのべましょう。
一 私たちは、自然と文化の調和をはかり、住みよい社会をつくりましょう。
一 私たちは、豊かな教養を身につけて、市民生活を高めましょう。
[昭和52年5月1日制定]

ふるさとの先人

多久 茂文(たく しげふみ)

寛文9年(1669)~正徳元年(1711)

多久 茂文詳細

ふるさとの先人を活かした主な活動

治世の基本に教育を据えた「多久茂文」、多久聖廟と東原庠舎

約310年前、多久の邑主・多久茂文は多久の治世の基本に教育を据え、身分を問わず学ぶことのできる学問所・東原庠舎を1699年に設けた。「敬は一心の主宰、万事の根本にして、万世聖楽の基本」と考えた茂文は、「廟舎を視れば即ち敬を思う」という廟堂建立の志から聖廟を創建した。

 東原庠舎には、学問を志す人々が集まるようになり、「政事を行う場合に重要なことは人格であり、そのためには学問を究めるに他ならない」と、人づくりに情熱を注いだ茂文の想いが実現することとなる。

 幕末から明治時代にかけては、儒学者・草場佩川をはじめ、後に我が国の電気工学の先駆者(日本初の工学博士)となる志田林三郎、明治刑法等の草案者である鶴田皓(斗南)、実業家(石炭王)高取伊好など、日本の近代化や郷土のために尽くした人物を数多く輩出し、多久のみならず、日本の近代化に大きく貢献してきた。これを市民に広く知ってもらうために、平成19年度に、賢人カレンダーを作成し、市内全戸に配布している。

 平成3年度に研修施設として整備した、現在の東原庠舎には財団法人孔子の里があり、釈菜(せきさい)や孔子祭りなど孔子に関連する行事を開催するほか、全国ふるさと漢詩コンテスト、論語カルタ大会などの各種イベント、中国楽器による演奏会、論語教室、絵手紙教室など様々な文化活動を展開している。

期待される市民像

伝統的な文化を学ぶ市民の姿はまさに「昔のことを改めて見つめると新しいことがより良く分かる」という温故知新の考え方の実践といえる。また、市長はじめ「温故創新」の心構えで日々取り組んでいる。江戸時代から続く文教の心は多久市民の心に強く根づいており、多久市を一言で表現するなら、「文教の里」という言葉が最適だと言われる所以もここにある。「多久の百姓に道を尋ねると、鍬を置いて人の道を説く」とも言い伝えられる気風がある。先人の学問や学びへの情熱が私たちの今の時代まで続いているのである。

春と秋の釈菜

孔子様をたたえる春と秋の釈菜は連綿と続けられ今年で314年目となる。孔子様の生誕地である中国山東省曲阜市とも友好都市交流として様々な交流を行い、平成7年度からは、中国に伝わる孔子を賛美する「釈菜の舞」を導入し、腰鼓、獅子舞とともに市民にも親しまれながら披露している。

論語カルタ大会

日常生活の中でも教訓として、日本人の心の鏡と成りえる論語。平成6年度から、「論語カルタ大会」が開催されて、さらに平成12年度からは多久市では論語から100の言葉を抽出し、百人一首のカルタ風に作成し、市内の小中学校全校が参加する大会として現在では定着している。多久市内の子どもたちは、論語の暗唱など、日ごろから論語に接する機会が増えたため、集中力が増し礼儀正しくなっているようである。多久聖廟創建300年を迎えた平成20年からは、市内外、年令を問わず参加できる大会となった。

 多久市ではこのように、低年齢層をターゲットとし、子供たちから、親や祖父母に文教の心を根づかせる事を狙った。現在では、保育園でも自主的に取り組んでいる。もっと全年齢層に密着した形で伸びていくことを望み、平成20年には論語日めくりカレンダーを作成し、好評を得ている。

記念館・資料館

多久市郷土資料館
(郷土資料館、歴史資料館、先覚者資料館を併設)
〒846-0031 佐賀県多久市多久町1975 TEL 0952-75-3002